梅は、桜になろうとしない。

梅は桜になろうとしない

最近読んだ本に、

こんな言葉がありました。

梅は桜を目指さない。

その一文を読んだ瞬間、

私はしばらくページを閉じて考えてしまいました。

そうか。

自然は誰かと比べていない。

梅は梅として芽を出し、

花を咲かせ、

実をつけます。

誰かになろうとはしません。

比べているのは、

人間だけなのかもしれない。

いつも誰かになろうとしていた

私は子どもの頃から、

誰かに憧れることが多い子でした。

服装を真似したり、

読んでいる本を買ってみたり、

話し方まで真似してみたり。

「この人みたいになれたら。」

そんな気持ちが、

いつも心のどこかにありました。

でも、

どれだけ真似をしても、

結局その人にはなれません。

少し近づいた気がしても、

また新しい憧れが現れる。

気づけば私は、

「自分になること」より、

「誰かになること」に一生懸命だったのです。

「もっと」の先には、また「もっと」があった

若い頃は、

営業成績の良い先輩。

同期。

上司。

みんなと比べていました。

もっと仕事ができる人になりたい。

もっと評価されたい。

もっと…。

でも、

比べるたびに、

自分の足りないところばかり見えていました。

そして、

一つ目標を達成しても、

また次の「もっと」が現れる。

あの頃の私は、

誰かと比べることでしか、自分の価値を測れなかったのかもしれません。

病気が教えてくれたこと

病気を経験してから、

以前のようには働けなくなりました。

「なんで自分だけ。」

「前みたいに動けたら。」

そんなことばかり考えていました。

いつも比べていたのは、

周りの誰かではありません。

病気になる前の、自分自身でした。

でも、ある日ふと思ったのです。

健康だった頃の自分を追いかけ続けても、

あの頃には戻れない。

だったら、

失ったものを数え続けるより、

今の自分にできることを大切にしたほうがいい。

そう考えるようになりました。

今の私は、

昔の私ではありません。

でも、

だからといって価値がなくなったわけでもありません。

今の自分には、今の自分にしか見えない景色があります。


梅は、梅でいい

梅には梅の花があります。

桜には桜の花があります。

どちらが優れているわけでもありません。

咲く季節も違えば、

花の美しさも違います。

だからこそ、

それぞれに意味があります。

だったら、

私も私の花を咲かせればいい。

営業成績も。

肩書きも。

誰かの人生も。

もう追いかけなくていい。

誰かになろうとするより、

自分らしく咲くことのほうが、ずっと大切なのだと思います。

ありのままは、諦めではない

「ありのまま」と聞くと、

頑張らないことのように思われるかもしれません。

でも、

私はそうは思いません。

ありのままとは、

今の自分を受け入れること。

そして、

今の自分にできることを、丁寧に積み重ねること。

それが、

今の私の働き方です。

以前のようには働けなくてもいい。

以前のように走れなくてもいい。

今の自分だから届けられるものがある。

そう思えるようになってから、

仕事も人生も、

少しずつ穏やかになってきました。

ありのままは、立ち止まることではない。

今の自分で、一歩ずつ歩いていくことだ。と今は思います。

今日の気づき

桜が美しいのは、桜だから。

梅が美しいのは、梅だから。

そして、人もまた、自分らしく生きるとき、一番美しいのかもしれない。

Life Grows Softer

誰かの人生を目指すより、

自分の人生を咲かせたい。

橘の気づきノート #008